「勉強したくない」は、指導を拒む性格ではなく、難しさ、疲れ、不安、過去の経験を知らせる言葉かもしれません。講師の最初の仕事は、やる気を出させることではなく、何が負担かを安全に確かめることです。
この記事で分かること
- 理由を一つに決めず、直前の状況と課題の特徴を観察します。
- 量を減らし、二つの選択肢と短い入口を用意します。
- 結果より、選べた・助けを求めた・戻れたことを認めます。
- 押し切らず、続く困りは保護者と代表へ共有します。
「勉強したくない」の背景
- 問題が難しすぎ、どこから戻ればよいか分からない
- やることが多く、最初の一つを決められない
- 間違いを見られることや注意されることが怖い
- 学校や部活動の後で疲れている
- 学校・塾で恥ずかしい思いや叱責を経験した
- 読む・書く・聞き続けること自体の負担が大きい
- 指示されることへの抵抗や、講師への緊張がある
講師が原因のこともあります。説明が長い、距離が近い、質問が多い、正答を急かすなど、自分の関わりも見直します。
理由を決めつけず観察する
「なぜやらないの?」と問い詰める代わりに、拒否が出た直前を見ます。問題文を読んだとき、鉛筆を持ったとき、間違いを指摘されたときなど、場面を細かくします。本人には「難しい、疲れた、別のことが気になる、どれに近い?」と答えやすい選択肢を出します。
答えが分からない場合もあります。その日は理由を確定せず、「今日は書く問題で止まりやすかった」と事実を記録します。
授業での6つの対応
- 拒否の前後を観察し、理由を決めつけない
- 予定していた課題量を半分以下にする
- 「一問見る/例題を一緒に読む」など二択を示す
- 1〜3分で終わる課題から始める
- 正答より「選んだ」「質問した」「戻れた」を認める
- 無理に押し切らず、保護者と代表へ事実を共有する
一度取り組めても、すぐ通常量へ戻しません。本人に「次も同じ量がよいか」を聞き、再現できる形を探します。
声かけ例と避けたい対応
| 場面 | 声かけ例 | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 始められない | 「問題を選ぶのと、例を見るのはどちらが楽?」 | 「早く始めよう」だけを繰り返す |
| 間違いを恐れる | 「途中まで一緒に書こう。消さなくていいよ」 | 簡単なのに、と評価する |
| 疲れている | 「5分休むか、今日は確認だけにする?」 | 約束だからと押し切る |
| 拒否が続く | 「今日は難しかった条件を一緒に記録しよう」 | 報酬や罰でその場だけ動かす |
保護者・代表へ共有する
「やる気がありません」ではなく、「漢字を5字書くと伝えた直後に机を離れた。二択で口頭問題を選ぶと3問取り組めた」と共有します。頻度、直前の状況、試したこと、本人の言葉を分けて報告すると、次の調整ができます。
強い不安、体調不良、自傷や他害、家庭や学校での安全に関わる話が出た場合は、講師だけで抱えず速やかに代表へ連絡します。
拒否が強い日の授業例
開始時に生徒が「今日は何もしたくない」と言ったら、まず体調と安全を確認し、「5分休む」「今日の予定を一緒に減らす」の二択を示します。休憩後も難しければ、教科書を開くだけ、前回できた問題を見るだけなど、参加の入口を小さくします。
それでも拒否する場合、授業時間を埋めるために説得を続けません。本人の了承を得られる範囲で、学校で困っていることや次回の希望を聞き、保護者と代表へ事実を共有します。「60分中10分しか勉強しなかった」ではなく、拒否が出た条件、選べたこと、次に試す案を記録します。
講師との関係に原因がありそうなら、「説明が速かった?」「近くで見られるのが嫌だった?」と具体的に聞きます。謝る必要があるときは言い訳せず、次回の関わりを変えます。
授業前後の確認に使う
記事の手順は、そのまま全員に当てはめる規則ではありません。授業前に一つ選び、授業後に「何を試したか」「生徒の反応」「次回どうするか」を3行で記録してください。うまくいかないときは、別の方法に変える前に代表へ事実を共有します。
学習以外の心配や安全に関わる情報を受け取った場合、講師が一人で判断・対応せず、連絡手順に沿って相談します。具体的な迷いを持ち寄ることが、研修とサポートを実際の指導に生かすことにつながります。
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